金澤ななほしカレーは、金沢市役所前にある人気のカレー店。
私も、お店ができてからしばらくは行ったことがなかったんです。でも、とある人からこのお店のオーナーが君と僕の共通の知人だよ言われて、そうかーと思って連れて行ってもらったんです。そしたら・・・
金澤ななほしカレーはお客様が途切れない!
お店の前には、カレーの製法が詳しく書かれています。ここには、「小麦粉・砂糖不使用」と書かれています。
後でも解説しますが、ななほしカレーはスパイスの風味はそのままに、口の中にイヤな脂っこさやくどさが残らず、体調がすぐれないときでも食べやすいカレーだと思います。
私はいつも、土日のランチタイムに来ます。
この日、用事があり14時ごろに行きましたがまだまだ混雑していました!話しを聞きながらようやく16時ごろから席が空いてきたかな?という人気店。
ランチは、カレー、スープ、ピクルス、デザート、ドリンクが付いたセット。
支払いは前払いです。オーダーと一緒に支払って、カレーを待つスタイル。
オーダー方法は、こちらに書かれている通り、サイズやトッピングまで選ぶことができる。ドリンクも選べます。
※金澤ななほしカレー公式サイトから引用。
私はいつも気まぐれカレーを1つないし2つチョイスして食べます。だって、楽しみだから!こんなふうにカレーと組み合わせるなんてすごい!!と思います^^
この日の気まぐれカレーは、
- 豚ひき肉とレンコンとごぼうのカレー(左)
- のと115とエビのアヒージョカレー(右)
のと115というのは、能登のブランド椎茸。肉厚でとてもおいしい。
こういう地元の食材を生かしてカレーにアレンジする彼はすごい。ホント尊敬します。オーナーの西橋さん。彼、実は一瞬だけ同僚だったんです(笑)そんなよしみもあり、無理やり?すごくお忙しい中、お話を伺ってきました^^
カレー屋さんになったいきさつを聞いてみた[インタビュー]
どうして、カレー屋さんに?
「ある日出張にいったとき、カレー屋さんに入りました。良く考えたら・・・カレーってオーダーしたらすぐ出てきて、食べてパッとお店から出られる。定番の食べ物だし、さっと食べられるカレーがもっと栄養バランスがよくて、しかもおいしかったら良いのにと思って。
これが和定食だったら、準備も提供も大変だしカレーみたいなわけにはいかないですしね。
あ、もちろん僕がカレーが好きだってのもあります(笑)」
そこでカレー・・・きっかけがあったのですか?
「もともと、カレーを人のために作り始めたのは、会社に持って行ってたからなんです」
料理はもともと好きでずっとやっていた西橋さんは、とある日、会社に自分が作ったカレーを何度か持っていった。すると、社内で味が評判となって、会社がスポンサーをしているJリーグの地元サッカーチームのゲーム会場で売ってみないか、と打診されたといいます。
「これまでは家族や知り合いが食べる分を作っていたけれど、100皿単位のカレーを作るわけですよ、120食限定だったかな。それで、要領をつかんだというか具体的な数字が見えてくるようになった。」
ビジネスへはこうして感覚をつかみ、イメージが膨らんでいったといいます。
ただ、その間にもカレー屋さんになっていくまで勤めた会社や過去のことの点々が重なっていたことに、後になって気が付いたそう。
「僕はその会社で、会社の後継者が行くような21日間研修というものに参加させてもらえることになった。そこでは受講者が衣食住を共にします。食事も自分たちでつくり、掃除もしなくてはいけない。それが3週間です。そこに、僕以外に炊事ができる人がいなかったんです。
そこで食事に関しては全部私に任せて従うというので、調理の責任者として朝昼晩の食事の段取りをすべてひとりで考えることになりました。
25人分くらいの食事を、1時間以内に作って、食べて、片付けるまでしなくてはならず、しかもその作業は料理経験のない男達を動かして行わなくてはならないという難題でした。
味も量も不満がないようにしたいというプレッシャーもあって、寝てもさめても食事のことばかり考えているような研修生活でした。
メニューがジンギスカンと決まっている食事が2回だけありましたが、あとは全部私が決めたので合計で60食以上段取りしたことになります。
担当講師も生活を共にするのですが、メンバーによっては、カレー、焼そば、焼き飯のローテーションがひたすら続き、最終日はほとんど具なしになるなんてケースもあったそうで、今回のようにすべて違う内容でしかもデザートまででたのは初めてで、食事に関しては過去最高だったと言ってました(笑)
みんな掃除などいろいろな作業を分担していたのですが、私だけはみんなから特別扱いで、他の作業は全部免除でした(笑)」
買出しのメモづくり、買い物指示、毎日の献立の決定、作業手順の検討、担当の割り振りなど、ひとりで一連の流れを進めていく中で、彼がいちばん学んだことは「人の動かし方」だといいます。
「うまく全体を動かすためには、自分が作業に手を出してはダメで、我慢してやり方を指導したり、各担当に指示を出し続けなくてはなりません。この人にどの作業が向いているか、どんな手順なら経験がない人でもできるか、どう言えばやり方が伝わりやすいのか、研修で受けたどの授業内容よりも、食事準備で人をうまく動かすために毎日試行錯誤したことが一番勉強になった。」
現在、20名ほどのスタッフがシフト体制を組んでおり、協力的に動いてくれていると言います。その時の経験がものすごく役にたっているとのこと。
常識を覆す「自分がおいしいカレーを作る」
「ある日、とあるお店で食べたチキンカレーのチキンが美味しくなくてね」と西橋さんは続けます。
「チキンはたしかに柔らかいんだけど、煮込んだ時においしいスープが全部カレーに出てしまって肉がとても味気なかったんです。それを食べたとき、“自分ならもっと美味しく作れる!”って、めちゃ研究したんですよね!」と。
今では自慢のチキンカレーもメニューに並びます。
どうも彼は研究肌のようで、カレーをおいしくするためにスパイスの調合や調理方法など、試作を重ねることが好きなのだそう。実際に、スパイスの調合を誰かに教わったわけでもなく、レシピも独自のもの。その結果・・・
金澤ななほしカレーって、食べた後もこう、イヤな感じがしないというか・・・
「作っていて、最初に行うテンパリングというスパイスを油で熱して香りを出す作業があるんです。ふと、”この行程本当にいるんかな?油なしやとうまくいかんのかな?”と思って。やってみると油を使わなくておいしくカレーができることが分かった。だから今では”小麦粉・砂糖・油不使用”って前の看板に書いとけば良かったかもなんて思っているんです(笑)」
あー、私が「口の中にイヤな脂っこさやくどさが残らないね」って伝えた根拠はここにあったんだ・・・油を使ってないんですね。独自の研究でそこまでできるって、ほんとにすごい。
「スタッフが体調不良だと言ったら、コンビニで買うよりうちでカレーを食べて帰りなさい、と言ってます」
うむ、確かに元気でそう!
この記事の最初の写真には、材料に何が入っているかがイラストで描かれています。この絵は店内の席にも置かれていて見ることができますが、とにかく野菜がたくさん!豆カレーなどメニューをきちんと選ぶことで、ベジ、ビーガン、ハラールと、あらゆる対応ができています。
この時間(16時)になっても、これだけ混雑してるってすごいですね!
「カレー屋さんは見てわかる通り、回転がいいですよね。
やりたいことを続けるためには、きちんと儲けることが必要なんです。でも、きちんと真面目な商品を提供して初めて、お客様は来てくれる。それを続けられない、原価率の安い商売をする人たちもいます。僕はそれをやりたくない。
子供からお年寄りまで、安心して食べることができておいしいと思ってもらえるカレーを作りたいんです。僕にも妻や子供がいますから、家族に食べさせたい味を守ることでもあります。
もちろん、この1店舗にとどまることなく多店舗展開も将来的には考えていますよ。お声をかけていただけるようになれたら」
スタッフさんがたくさんいるように見えますが、教育とか大変では・・・?
この日は5名ほどいらしたように思いました。
「僕は、僕も含めみんなで気が付いたことをどんどん提案して、改善していこう、と言ってます。
1週間で1つも変化がないことはおかしい。もし僕が気づかなかったら、行き詰っているから指摘してほしいと伝えています。例えば、昨年のゴールデンウィークに向けた改善だけでも50ヶ所以上の改善をしましたよ。年間200ヶ所は軽く超えていると思います。だから、留学などで長期離脱したスタッフが復帰する時には、全部習い直すつもりでやってもらってます。」
200!!! それって週4個以上こなしている計算では。
たしかに、以前来た時よりもオペレーションが改善されていたり、店内の窮屈感が減ったかも。もしかすると配置なども工夫しているのかもしれません。
「当初から多店舗化を念頭に置いているので、自分しか出来ない作業があってはいけないと思っています。誰でもミスなく効率的にと考えるだけでも、改善点がいくつでも出てきます。自分抜きでもうまく店が回せる体制を、早く築き上げたいですね。」
たしかに。委譲するって大事だなと思います。抱え込むことで時間が取られて、西橋さんにしかできない仕事がどんどんできなくなってきますから。
念願の通販サイトをオープン
先日、金澤ななほしカレーさんは、通販サイトをオープンされました!
インタビューに行ったこの日、日経新聞に掲載されたそうで、私とお話し中にも電話問い合わせが来ていました。
カレーの通販ですね!どんなふうに使ってもらいたい?
「全国どこでも金澤ななほしカレーの味を手軽に食べることができます。
ただ、僕たちの作り方では安く沢山の量を販売することはできません。そのため、健康を気遣ったギフトや、金沢ならではのギフトとして使ってもらったり、お盆やお正月に親戚がみんな集まるときの1食に、例えばおせちに飽きたらカレーもいいよね、という感じで食卓に出てくるとうれしい」
確かに、ギフトというとこの取材の後にはバレンタインデー。記事を公開した時にはホワイトデー間近。
甘いものが苦手な彼でも、湯せんで手軽に食べることができるカレーならいいかも。
さらに大きな夢を語ってくださった西橋さん。ここではとても書ききれませんので、私の胸にとどめておこうw
お忙しい中長時間おつきあいいただき、ありがとうございました!
金澤ななほしカレー
所在地:石川県金沢市広坂1-2-18 中村ビル2F
TEL: 076-232-5707
診療時間:11:00~19:30(L.O.19:00)
定休日:月曜(祝日の場合は翌火曜)
平日は、15:00~17:00が中休みとなります。
駐車場は近くのコインパーキングを使ってください。